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働きながら年金を受給すると、年金額がカットされる在職老齢年金とは!

前回「悪名高き「在職老齢年金制度」廃止か?!高齢者の働き方が一変」で在職老齢年金が廃止されることを示唆しましたが、もうすぐ「在職老齢年金」が気になる人に向けて再度おさらいします。

在職老齢年金とは!

在職老齢年金とは、簡単にいうと働きながら年金をもらう場合、月給に応じて年金が減額されることです。働きながらというのは、厚生年金保険に加入している場合です。以前は、厚生年金保険の年齢上限が65歳であったために「60歳代前半の在職老齢年金」しかありませんでしたが、平成14年に年齢上限が70歳に引き上げられた際に、「60歳代後半の在職老齢年金」の制度も設けられました。

※左図は年金5万円カット

年金は、基本的には、65歳から支給が開始されますが、下記のとおり、男性の場合は昭和36年4月1日以前生まれ(女性は5年遅れのため、昭和41年4月1日以前生まれ)の方は、60歳から64歳の間に、段階的にお得な年金(特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分))が支給開始されます。

<報酬比例部分の段階的廃止(男性の場合)>

・昭和24年4月2日~昭和28年4月1日:60歳~ ・昭和28年4月2日~昭和30年4月1日:61歳~ ・昭和30年4月2日~昭和32年4月1日:62歳~ ・昭和32年4月2日~昭和34年4月1日:63歳~ ・昭和34年4月2日~昭和36年4月1日:64歳~

※2019年度でいうと、昭和32年生まれの人は、今年62歳で、来年63歳になった時から特別支給の老齢厚生年金が支給されることになります。昭和31年生まれの人は今年63歳であり昨年から支給されています。

この特別支給の老齢厚生年金は生年月日に応じて誰でももらえるわけではなく、厚生年金の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間を満たしていることが条件となります。

老齢基礎年金の受給資格期間は、平成29年8月から10年に短縮となりました(それまでは25年必要であった)。受給資格期間は、年金がもらえる資格があるかをみるための期間で、国民年金に加入した期間と言ってもよいでしょう。サラリーマン等は厚生年金保険に加入していますが、同時に国民年金にも加入しています。※受給資格期間の詳細は別ブログでも紹介しています。

上述の働きながら受け取る特別支給の老齢厚生年金によって、「在職老齢年金」の減額をどう避けるかを考えなければなりません。

65歳未満の在職老齢年金は月給と年金の合計額が28万円を超えると年金カットが始まります。

年金減額を避ける方法!

年金減額を避けるためには、2つの方法があります。

一つは自営業者(個人事業主)となって厚生年金から外れることです。

在職老齢年金は、厚生年金保険に加入している場合だからです。例えば、定年後に自営業(個人事業主)となれば、厚生年金から外れるため、いくら稼いでも年金は減らされなくなります。

もう一つは、雇用延長などの際に年金減額されない金額まで給料を低くするやり方です。

この2つの方法にもメリット、デメリットがある!

考えなければならないことは、年金と健康保険料負担の損得です。個人事業主となれば、収入が多くても年金カットは避けられる一方、保険料が高い国民健康保険に加入しなければなりません。そこで会社員の身分の方が有利だと判断し、仮に年金を12万円もらっている場合、給料を15万円にします。年金と合計しても減額されない上、健康保険料は会社折半となり国民健康保険よりはるかに安く済みます。

したがって、年金は減らされず、健康保険料も安い。60歳以降も会社員として厚生年金保険料を払うため、加入期間が延びて65歳からの年金受給額も増えることを考えて後者の方を選ぶ人が多いのが実情のようです。

これでは、 ・働く意欲をそぐお金が回らなく経済が発展しない (お年寄りは年金+貯蓄切り崩しで生活を補うため)

「在職老齢年金」が廃止されれば、上の2つの良い所を足しあわせ、「収入が多くて年金もカットされない」ことが実現されるのです。

年金制度は、「保険料の払い方」から「年金のもらい方」まで選択肢が多く、損得は定年前後の働き方によっても変わってきます。税金や社会保険料負担まで含めたトータルで考えることが必要であり、最も得する選択肢を見つけるのは容易ではありません。

年金にまつわる最初の選択肢は、「繰上げ支給」か「繰下げ支給」かとなります。

国や年金機構は、繰下げ受給を選べば、年金額が増えると推奨していますが、繰下げを選んで住民税非課税の壁を超えてしまうと税金や健康保険料が跳ね上がり、手取り額が大きく減ります。簡単に決められることではありません。

またの機会に「繰上げ」「繰下げ」を解説したいと思います。