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障害基礎年金の支給要件

公的年金の障害給付は、公的年金に加入している人が、何らかの病気や事故で一定の障害状態になった場合、支給要件を満たしていれば「障害給付」が受けられます。 この障害給付も老齢給付と同じく2階建てになっていて、1階部分が障害基礎年金、2階部分が障害厚生年金(障害共済年金)となります。 国民年金の第1号被保険者の人は1階部分だけ、厚生年金保険の被保険者は1階部分と2階部分の両方受けられます。 障害基礎年金、障害厚生年金のしくみはほとんど一緒ですが、一部相違点があります。今回、障害基礎年金について詳細な説明を行いますが、後述する障害厚生年金では、障害基礎年金との相違点を説明するようにします。

障害基礎年金の支給要件

障害基礎年金の支給を受けるには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

初診日要件

初診日に、次のいずれかに該当すること。 ●被保険者 ●被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満 であること 初診日(初めて医者にかかった日)に被保険者であることが原則ですが、60歳まで被 保険者であった人も国内に住んでいて65歳未満であれば大丈夫です。 では、65歳以降の特例による任意加入被保険者はどうかというと、原則の「被保険 者であること」の要件を満たしていますので、問題なく初診日要件を満たします。

障害認定日要件

「障害認定日に障害等級に該当すること」 障害認定日とは、初診日から起算して1年6か月を経過した日(障害認定日A)、また はその期間内に傷病が治った場合は、その治った日(障害認定日B)となります。 初診日から1年6か月が経過する前にその傷病が治ったけれど障害が残った場合は B、1年6か月経過した時にまだその傷病が治らないければAが障害認定日となりま す。Aが障害認定日となる場合は、障害が治っていなくても、他の要件を満たしていれ ば、障害基礎年金が支給される点がポイントです⇔労災保険は治癒(治った)が必要。 障害等級は1級または2級です。どちらも非常に重い障害です。 ※障害認定基準参考:日本年金機構 国民年金・厚生年金 障害認定基準をご覧ください

●級別の障害の程度 障害等級1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができな い程度のもの。 (他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度) 障害等級2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、 日常生活が著しい制限を 受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 (必ずしも他 人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることが できない程度)

公的年金の障害給付における障害状態を判断する基準は、政令国民年金法、厚生年金保険法)によって定められた基準と同様です。それぞれの等級の障害の程度は次の「障害等級表」のとおりです。ここで注意することは、福祉事務所の障害手帳を交付する際の障害等級(「身体障害者福祉法」による)と、公的年金の障害給付の障害等級とは別個のものだということです。

障害等級1級 ・両眼の視力の和が0.04以下のもの ・両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの ・両上肢の機能に著しい障害を有するもの ・両上肢のすべての指を欠くもの ・両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの ・両下肢の機能に著しい障害を有するもの ・両下肢を足関節以上で欠くもの 体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有するもの ・前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの ・精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの ・身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複するする場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認めれられる程度のもの

障害等級2級 ・両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの ・両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの ・平衡機能に著しい障害を有するもの ・そしゃくの機能を欠くもの ・音声または言語機能に著しい障害を有するもの ・両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの ・両上肢の親指および人差し指または中指の機能に著しい障害を有するもの ・1上肢の機能に著しい障害を有するもの ・1上肢のすべての指を欠くもの ・1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの ・両下肢のすべての指を欠くもの ・1下肢の機能に著しい障害を有するもの ・1下肢を足関節以上で欠くもの 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの ・前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする 病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの ・精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの ・身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複するする場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認めれられる程度のもの

保険料納付要件

保険料納付要件とは、簡単に言うと「初診日までにある程度まじめにきちんと保険料を 納めていること」ということです。逆に保険料を納めていない人には、障害者になった としても、障害基礎年金は支給されません。

◆保険料納付要件 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合

【原則】 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、その被保険者期間の 3分の2以上であること

【例外】 原則の要件に該当しない場合であっても初診日が平成38年4月1日前にある傷病 による障害については、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの 1年間のうちに保険料に滞納がないときは、保険料納付要件を満たしているものと する。ただし、初診日において65歳以上の者には適用しない。 ※以前の「会社を辞めた時の空白期間は怖い」は、これを物語っています。

なぜ、初診日の「前日」なのかというと、不正防止のためです。「当日」にすると、午前中医療機関にかかったその足で午後役所に行き、過去2年分(時効)の保険料をすべて納めてしまうことができるからです。 また、初診日の属する月の前々月までは、健康保険、国民年金、厚生年金保険の保険料の原則的な納付期限は、翌月末日です。 したがって、保険料をきちんと払ったか判明するのは、翌々月になってからということになります。これを逆算すると、前々月までの分しか納付を確認できないこととなるからです。 被保険者期間がある場合に限り、保険料納付要件を問うのかについては、たとえば、20歳になって国民年金の第1号保険者となったすぐに初診日があったようなケースだと、過去に国民年金の被保険者期間が存在しません。被保険者期間がないのに保険料納付もありませんので保険料納付要件は問わないわけです。 原則では、「過去の被保険者期間において滞納期間が短いこと」を要件としています。 例外は、「過去に滞納期間が多くても。、とりあえず過去1年間だけきちんと納めていればよい」という意味です。

「平成38年4月1日前にある傷病による障害については」という条件の「平成38年」(2026年)までという期限は改正の度に期間延長しているからです。 この特例は、年金制度が旧法から新法に移行した昭和61年4月に、「とりあえず向こう10年間の特例」として設けられたものです。昭和61年から10年後は平成8年です。その後、平成6年の改正でこの特例は10年間延長され平成18年までとなりました。また、平成16年と25年の改正においてさらに10年ずつの延長が決まり、平成38年までとなったのです。つまり、平成38年とは、昭和61年の40年後であるということです。